ハルカヤマのこと -その1-

 明日から始まるハルカヤマ藝術要塞も、いよいよ今年で終了することとなった。2011年から始まり、サテライト展示を除き隔年の開催で今回も含め計4回の開催となった。今回で最終章ということで、とても感慨深く感じている。思えば、最初参加した時は、まだ、あまり作家の知り合いも、あまり多くなく、初対面の作家さんも多かった。なにせ自分は初個展が2008年で、年齢の割に、全く活動歴が浅かったので、それも当然だった。そんな自分が参加できたのも、たまたま誘ってくれた友人が身近にいたせいであり、人との縁もとても強く感じる。初めて参加した時のことは今でも昨日のことのようにはっきりと覚えている。ゴールデンウィークの頃に会場の下見で初めて、その場所を訪れ、展示場所を決めた。廃墟のあるその土地は、過去レジャーで賑わったらしいホテルの廃墟とは対照的に生命力ある緑で生い茂り、なんとも特徴的な土地という印象を持った。中でも自分は、その会場内の栗の老木があった場所が特に気になり、展示スペースをその場所に決めた。その栗の老木はなんとも奇妙な姿をしており、その木の枝なのか根が土中より出てきたのか、さっぱりわからないが太い幹に、ぐるぐると巻きつき異様な生命力を放っていた。その木との出会いがなければ、もしかしたら現在の自分の作風にもなっている細かなパーツを沢山制作し、構成するようなスタイルも、それほどスケール感を重視したものには、なっていなかったかもしれない。その時に感じた驚きは、最初の出会いだけには終わらず、次に8月にその場を訪れた時に、更に強く感じることとなった。というのも2回めに訪れた時は、その木の周りは、ぼうぼうと生い茂る草で、その木も見つけられず、たった三ヶ月ほどで景色を一変させてしまう自然の威力に呆然とさせられた。その木にたどり着く為、そして展示スペースを設ける為、仕方なく、ほとんど経験したことのない草刈りを行ったのだが、雑草なんて言う生易しい物ではなく、とても茎の太い力強い植物がほうぼうに生い茂り、まさに格闘だった。とても時間をかけ、ようやく雑草らしき緑が減り、地面の色が見えてきて少し安心と思った矢先、自分の足が何かに引っ掛かり、つまずきそうになった。なにかと思い、それをよく見てみると、土中より木の根らしきものが出て、それがまた土の中に入っている。そうしたものが、あちらこちらにいくつも......。もしかしたら、初めに見たこの老木のまとわりついている木のようなものも、これなのだろうか?真偽は全くわからないが、異様とも感じる自然の生命力に、ただただ圧倒されたことを覚えている。この時のことが、おそらく自分の制作のテーマともなる生命感に強く影響されたのかも、と自分では思っている。

ハルカヤマ藝術要塞2017[ファイナル・カット]
期間 : 2017年6月11日(日)→6月18日(日)10:00〜17:00
場所 : 小樽 春香山麓