『再会』

 
再会って言う程の大きな事ではないのだけれど、先日驚いた事がありまして。

大昔の話なのですが、私が、まだ中学生だった頃、登校途中に、よく当時の不良を絵に描いたような出立ちの人とすれ違ったのです。当時は、横浜銀蝿なんかが流行り、「つっぱり」がブームの時代でした。と言われても分からない人は「ビーバップハイスクール」まだ駄目か?「気志團」なんかのルックスを想像してみて下さい。極端なリーゼント。変な長い学ラン、だぼだぼの「ぼんたん」と言われたズボン。それでも学生服だというのが驚きですが..。ま、とにかく、そんな出立ちの男と、鉢合わせなんですね、朝から。普通であれば目を合わせないようにと、気をつけて通り過ぎるものなんでしょうが、ど〜も、それが当時の自分には出来ないのですよ。気になるものは、「じっくり」観察してしまうんですね。ただでさえ、目がデカく目立ってしまうのに、じ〜っと見入ってしまい、そりゃあ、絡まれましたよ!当然ですね。絡まれて良いわけないのだけれど、なんせ、登校ルート変えるのもやだし、そうしたら、また会っちゃう訳ですね。そこで、わたしは、無意識に、また、見ちゃってるんですね。自分は防衛本能より、好奇心が勝っちゃうんですね、おそらく。これは、もう業としか言いようないです。今思うと、そんな自分が不憫に感じますが.....。
何か視線が会ってしまい、やだな〜と思ったのもつかの間、こちらに向かってきて、こう言いました、つっぱり君。「また、お前か!」

 その後、月日は流れ、世からパンチパーマもアイパーも、リーゼントの男性もすっかりいなくなりました。と思っていましたが、先日、近所に買い物に行ったとき、エスカレーターで、こちらを見ている男性が一人「つっぱり化石」のようなオッサンがおりました。サテン地のケバいジャンパー、リーゼント気味の茶髪に、獣のようなギラツイタ眼光。
なんだ、こいつと内心で思いながら、つい見てしまう自分。それに答えるように、こちらに目を向けるオッサン!なんか、こんなことあったぞ!

「アーッ!あの、つっぱり君だ!」

 時は流れましたが、わたしと彼は、同じく、成長する事が出来なかったのでしょうか?三つ子の魂、百まで.....。


 「や〜、久しぶりだね。」なんてことは言えないですよ、当然。