RSRにて?『サカナクション』

RSRにて」って、終わって何日も経ってしまい、すっかりと日常どっぷりモードのせわしない毎日を送っておりますが、記憶の片隅にずっと引っかかっていることがあり書こうと思います。
 気になったバンド その2「サカナクション
以前から気にはなっていましたが、今回ライブを初めて見て、このバンドが、更に気になるようになりました。それは、好みだとか、そういうことではないんです。何が気になるかと言うと、ボーカルの山口さんの文学趣味が至る所に垣間見える点と、それが反映されたJ-POPとしてあるまじき歌詞が見事なポップスとして成立してしまう点にあります。そんな歌詞なんですが、どう考えてもエスカレートしてますよね、最近は。
 最近は『バッハの旋律を夜に聴いたせいです』って曲がチャート入り。イメージとしては、何か昔、学生時代にいた文学部の一風変わった友人なんかを思い出しますね。歌詞を抜粋してみると「壁が鳴り痺れるチェロ」ですから。大変、文学趣味を感じさせますね、この言語表現。礼儀正しいです。シャツの第一ボタンも閉めそうです。でもJ-POPとして聞いている人への詩を通しての共感性?なんて、明らかに蚊帳の外。でも、この曲名でヒットチャート入りですから、快挙ですよ。一つの事故と言っても過言じゃないでしょう、きっと。
そこはポップスの醍醐味でしょうか。ポピュラリティーを得ている要因は楽曲にあると感じました。RSRのライブでは非常にキャッチーな曲を「これでもか!」という感じで立て続けで演奏。盛り上げるのも上手いです。既にライブバンドとしての貫禄も感じさせました。曲はポップス的な印象ですが、テクノ等のビートを、すごく上手く取り入れていました。反復するビートの上にメロディーを上手く載せ、ビートの反復でヒートアップしたところでメロを上手く転調させたりする手腕はGREAT!ポップス的な曲の中で、こうしたクラブ指向的サウンドと独特の歌詞が上手く共存させるバランスが秀逸なのでしょう。
 でも、ライブ中盤でメンバー全員でヘッドフォンをしてステージ前面へ、レイ・ハラカミさんが使用しそうな、つまみの多い楽器を皆で同じようにいじりながらのクラフトワーク大会は明らかにバランスを崩してましたね。あまりの展開に、お客さんもちょっとひいていましたね。非常にきわどいバランス感覚のバンドであることを露呈していた感じがしました。

『テクノ』『文学』『ポップス』

 ますます分からないですね、文学青年山口さんが何処へ向かおうとしているのか?
個人的にはポップスとしての大きな事故(素晴らしく個性的でありながら見事にポップな作品)を起こしてくれることを期待しています。