十和田市現代美術館




十和田現代美術館へ行く。ここ最近、気になっていた美術館へ、念願かなって足を運ぶ。作家一人につきホワイトキューブが一つ与えられ、それらが繋がっているような面白い建築となっている。作品はどれもインスタレーション的なものが多い、見て体感して驚くようなものも多く、特別アートに関心の高い人でなくとも楽しめてるようだ。個人的に気になっていた作家はロン・ミュエク。リアルで大きな赤ちゃん等の作品で有名な作家。やはりこの作家の作品は生で見なければと思う。想像以上に異常なまでのリアルさ。浮き彫りとなった血管、微妙な皮膚の色、深く刻まれた皺。こわばった表情。圧倒的な大きさでこちらを睨みつけられる。まさに体感。鑑賞はかくあるべし。生で一対一で出会いたい。他にも五感に訴えかけるもの、ぐるりと身体の周りを囲まれる事によって感じる身体感覚を感じるもの等多くの作品がある。パッと見で驚いたり視覚効果などで楽しめる作品も多い。例えばハンス・オブ・デ・ピークという作家の作品は部屋丸ごとのインスタレーション作品で、中に入ると、目が慣れないといったい何があるのかよく見えない。その中にレトロな明かりとテーブルがあり、暗いカフェのような空間を模したものと、ようやく気づく。そこで横を見ると窓のようなものがあり、そこから夜中の道路のような不思議な道が何処までも永遠と続くようなイリュージョンが目に飛び込んでくる。その都市郊外のような光景、そして店内のどこか一般的な店でありながらも、そこからくる寒々しい空虚感。暗い雰囲気から何ともうら寂しい気持ちにさせられる。周りにも人がいるというのに、不安感でいっぱい、孤独感を感じさせられてしまう。こうして、体感的に心情に訴えられるような作品が多いせいか、雑誌等での話題性か来館者もオープン間もないというのに、非常に多く、私が訪れた時も、一般のおばさま集団も大きな声で「なんだこれ!」「わはは!、ちょっと見てよ!!」とけたたましい声で会場中を徘徊していた。広く多くの人にオープンであるべきとは思うが、マナーが無い人にとってもオープンというのは、難しい問題。ここから、こういう方々にもアートに少しずつ接してもらい、接し方も感じられるようになってもらえたら、日本のアート状況も、もっと変わっていくだろうなと思った。

ロン・ミュエク http://www.albatro.jp/birdyard/illustration-art/ron-mueck/index.html