今もafter 3.11

 ニュースを見ていると、「世田谷でまたセシウムが検出された....」「福島第一原発では核分裂が...」など原発に関するニュースが、ぼんやりとしたわたし達の日常に流されてくる。しかし、なんか、そんな事に慣れてしまったのかも、と感じている。ニュースを見ていても「どうなるんだろう?」という一抹の疑問と不安はあっても、自分は、相変わらずの日常を送るだけ。自分の身の回りの風景もいつもと同じ。放射線が眼に見えず、その被害も、すぐに、はっきりとカタチにならないように、わたし達の風景も、ジンワリと意識できないようなスピードで変わっていくのだろうか?そんなことを思っている時に、このアルバムを聴いた

 「斉藤和義 / 45 STONES」

 3.11以降に自分のヒット曲「ずっと好きだった」を原発問題の替え歌にし、you tubeにアップし話題となった記憶も新しい。そんな彼がアルバムを出すのだから、その動向にはメディアも注目し、「怒り」モードのアルバムだ、など、原発問題や政治色の濃いアルバムとの前情報から、非常に楽しみにしていたアルバムだった。

 実際に聞いた感想としては.....。本当に上手くことばになりません。少しでも多くの人に聞いて欲しいです。3.11以降に、多くのチャリティーイベントや歌も作られました。でも、そんなものとは全然違います。これを聞いて、明日からすぐに元気になれる訳でも、なんでもありません。でも、3.11以降にニュースを見て、震災に関する事など様々な事をネットで検索し、何が本当なのか?さっぱり分からなくなり不安にさらされた心情が、まざまざと思い起こされました。それ程、このアルバムの詩とメロディーが作者にとってプライベートな作品であるという事かもしれません。
 今、こんなに感じた事を鋭くことばにできるシンガーは他に知りません。今迄、あまり多くは彼の歌を聞いてきませんでしたが、日本で起きたこの悲しい事件は彼の心情と「うたづくり」に大きく影響したのでしょう。

 社会風刺的な色合いが強い1曲目「ウサギとカメ」
 「怒り」に満ちた政治批判の4曲目「猿の惑星
 原発批判のパンクナンバー「オオカミ中年」
 
そして、あまりにもリアルに震災の不安を見事な心理描写で描いた「雨宿り」

 どれも名曲でした。

http://www.youtube.com/watch?v=WxX1JK-NQzA&ob=av2e